高濃度乳腺~デンスブレスト~って?
マンモグラフィでみられる所見のひとつで、これ自体は”異常”ではありません。
乳房は、乳汁を産生・分泌する組織である乳腺組織と、これを支える脂肪組織によって構成されています。
マンモグラフィでは、脂肪が多いほど全体に黒っぽく透けて写り、乳腺組織が多いほど全体に白っぽく塊のように写ります。
この乳腺組織と脂肪組織の量をもとに、マンモグラフィの背景乳腺所見は大きく4種類に分類されます。
高濃度
約10%に見られます。日本人では欧米比べて高濃度乳腺の割合が高く、50歳以下では80%近くが高濃度乳腺であるとする報告もあります。若年、閉経前に多く後でもホルモ ン補充療法をしている方ではよく見られる所見です 。
不均一高濃度
約50%を占めます。マンモグラフィ上は白い部分(乳腺組織)が多くみられ、異常の発見難しい場合もあります。日本人では40代~50代にかけて多くみられますが、この年は乳癌罹患率の高い年代でもあり、慎重な判定が必要です。
散在性
約30%を占めます。乳腺は索状(線状)に認めるのみで、脂肪性同様、比較的異常所見がわかりやすい乳腺です。中高齢女性に多く見られます。
脂肪性
約10%を占めます。乳腺組織のほとんどが脂肪置き換わっており、マンモグラフィでしこりなどの異常所見があった場合に指摘しやすい乳腺です。
高齢女性多く見られます。
高濃度乳腺では何が問題 ?
高濃度乳腺では、特に留意しなければならない点が 2点あります。
- 病変の発見が難しい場合あります。 マンモグラフィ では、癌を見つけるうえ重要な“しこり” や“ 構築の乱れ”などの所見は白く写ることがほとんどです 。高濃度乳腺 では、乳腺自体が濃い白で透過性が低い(透けて見えにくい)ため 、これらの所見が見えにくくなる可能性あります 。
- 乳癌のリスク因子(中等度)です 高濃度 乳腺は中等度の癌リスク因子であることが知られています 。
しかし、高濃度乳腺が必ずしも全例判読困難というわけではありません 。
なぜ 高濃度乳腺が癌発生と関連するのかについては、まだはっきりとわかっていません 。
高濃度乳腺と言われたら
Q. ほかにどんな検査を追加すればいいの?
A. 超音波検査が勧められます 。
超音波検査は、身体にほとんど負担をかけるこなく、比較的短時間で検査ができ、診断精度も優れています 。
特にマンモグラフィでは描出しくい、やわらかな病変の検出が得意な検査です 。超音波検査を用いながら、組織や細胞の検査(病理検査)を行うことも可能です。
Q. 超音波検査を受ければ、マンモグラフィは不要?
A. マンモグラフィは必要です 。
マンモグラフィは、超音波検査で描出困難な“石灰化”や“構築の乱れ”といった所見をつける上で優れた検査です 。
特に早期の乳癌は“石灰化”で見つかる場合も多く、病変の早期発見に有用です 。
高濃度乳腺においては超音波検査を併用することで、見落としの可能性を減らし検査精度を向上できると考えられます 。
Q. 高濃度乳腺と言われて気を付ける事は?
A. 過度の心配は不要です。自己触診と定期的な検査を。
乳腺濃度は個人差が大きく、年齢や体質、授乳の有無やホルモン環境に左右されます。
多く授乳した乳腺は脂肪との置き換わりが進みやすいことが知られています。閉経後にホルモン補充療法をしる方では高濃度乳腺になりやすい傾向があります。
高濃度乳腺は乳癌のリスク因子でありますが、ひとつの所見であって病気ではありません。
過度に心配しぎることなく、自己触診や定期的な検診を継続することが最も重要です。