外科

実績

肝動脈化学塞栓療法(TACE)

TACEの対象となるのは、手術による切除ができない肝細胞がんで、がんの大きさ(腫瘍径)が3~5cm以上、あるいは3cm以下でがんの個数が4個以上と、進行した肝細胞がんです。
TACEは肝細胞がんに栄養を送っている動脈を薬剤によってふたをすることで、がんをいわゆる「兵糧攻め」にして壊死させる治療法です。「兵糧攻め」をしつつ、同時に抗がん剤を局所投与してがんに抗がん剤を長く留める方法となります。
また、比較的ストレスがかからない治療法であるため、肝臓機能が低下しているため手術が危険である方に対しても施行することができます。しかし、腫瘍は複数の肝動脈から栄養されること
が多いため、1回の治療効果は肝切除や局所療法より劣るため、治療を繰り返す必要があります。

腹腔鏡手術

腹腔鏡とはお腹の中をみる内視鏡のことです。お臍と左右下腹部に3~4カ所5mm~1cmの小さな穴を開け、炭酸ガスを入れたりお腹を吊り上げたりしてスペースを作り、そこから筒状のスコープや器具を入れて手術を行います。
傷が小さく、スコープで病変部を拡大できるので、次のようなメリットがあります。

  1. 手術の傷が目立たない
  2. 術後の痛みが軽減される

  3. 治りが早く、入院期間が短くなる
  4. 早期に社会復帰できる
  5. 術後の癒着が少ない
  6. 細かい操作ができ、出血が減る

開腹手術と比べ時間がかかりますが、安全に行えれば、デメリットはありません。ただし限界もありますので、そのような時は、開腹手術に変更して対処します。主な開腹手術への変更の理由は以下の通りです。

  1. 手術中に予期できない出血があったとき
  2. 強い癒着があり、安全な手術ができないとき
  3. 腸や膀胱などが傷つき、その補修に手指による手技を要するとき

鼠径ヘルニアに対するメッシュ修復(Direct Kugel法)

形状記憶リングに縁取られ、中央にストラップの付いた直径12.0×8.0cmの楕円形の人工補強材(ポリプロピレン製メッシュ)で腹膜のすぐ外側を広く覆い、鼠径部の弱い部分の全体を一度に補強して腸などが出てくるのを防ぎます。形状記憶リングによりパッチは確実に腹膜前腔で展開します。外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアを同時に対応できる方法であり、将来的な新しいヘルニアの発生を予防するという大きな利点も有しています。また最小限の固定により術後の痛みや神経痛のリスクも軽減されます。