2016年診断症例として1,638件のがん登録を行った。登録数は前年の1,690件と比べ大きな変化はなかった。

【当院の特徴】
2016年データでは、乳がんが1,328例(81.1%)と多く、悪性血液疾患75例(4.6%)、子宮がん56例(3.4%)と合わせて全体のほぼ9割を占めている。その他は肝がん47例(2.9%)、皮膚がん34例(2.1%)、大腸がん21例(1.3%)、胃がん14例(0.9%)の順に多かった。5大がんについては、ほぼ自施設で診断から治療まで施行されている。

【患者の年齢層】
登録患者の平均年齢は62.7歳(男性70.9歳、女性62.1歳)。男女比は約1：9と女性が多い傾向にあった。主な内訳は乳がんが61.8歳、悪性血液疾患74.1歳、子宮がん43.6歳、皮膚がん78.4歳、肝がん68.3歳、大腸がん72.9歳、胃がん70.4歳であった。

【患者の医療圏】
患者住所は、半数以上(55.1%)が熊本市内だったが、その他にも菊池11.5%、上益城8.0%、宇城6.8%、有明5.6%、天草4.2%などの医療圏からの紹介が多い。昨年との比較では菊池、宇城、上益城医療圏からの紹介が増加した。

【部位別治療内容】
乳がんに対しては手術療法、化学療法、内分泌療法と集学的に治療が実施されている。造血器腫瘍は、化学療法が施行されており、自己血末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法も施行されている。皮膚がん、子宮がん、胃がん、大腸がんは手術療法を中心とした治療が行われている。
肝臓がんについては他院で治療後の後治療目的にて紹介になる場合が多いため手術症例は少なく、TACEなどを含む化学療法を施行した症例が多くなっている。