診療実績および臨床研究業績
2015年4月に乳腺センター開設以来6年が経過しました。また、2017年4月に大江に誕生した新病院に移転してからも4年が過ぎました。この新しい病院へ移転してからの4年目、2020年度の診療実績、業績をまとめたいと思います。2020年度からほとんどの医療施設で新型コロナ感染症の影響を受けています。当院におきましても“受診控え”などもあり、やや患者数は減少いたしました。しかし、乳がんおよびがんを心配する患者さんにとっては“控える”ことよりも受診することの必要性もあり大きな影響は見られなかったと感じています。
外来患者数
2020年度 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 合計 |
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新患 | 97 | 97 | 144 | 153 | 144 | 132 | 185 | 187 | 169 | 153 | 155 | 203 | 1,819 |
再来 | 954 | 903 | 1,089 | 1,094 | 1,067 | 1,047 | 1,108 | 1,043 | 1,028 | 1,000 | 958 | 1,225 | 12,516 |
合計 | 1,051 | 1,000 | 1,233 | 1,247 | 1,211 | 1,179 | 1,293 | 1,230 | 1,197 | 1,153 | 1,113 | 1,428 | 14,335 |
乳腺センター開設からの外来患者数は新患・再来も合わせ2015年度:8,593名、2016年度(熊本地震の年):12,554名、2017年度(新病院での1年目):14,793名で、2018年度は15,127名となっており、2019年度は14,626名であり、2020年度は14,335名となっていました。再診数減少の一つは地域で開業されている先生方との順調な連携(わたしのカルテなど)がすすんでいることが伺えます。もちろん患者さんご自身が心配な時、具合が悪い時にはいつでも診療可能な体制はできています。
入院患者数
2017年度の入院患者数は年間で1,466名、2018年度は、1,527名、2019年度は1,449名、そして2020年度は1,577名でした。これには外来での薬物療法施行が増加したことなども影響しているかと思われます。月の平均入院患者数は131名でした。
2020年 | 2021年 | 合計 | ||||||||||
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4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
137 | 124 | 131 | 117 | 139 | 119 | 132 | 125 | 130 | 144 | 129 | 150 | 1,577 |
手術症例数
乳腺センター開設からの手術症例数は2015年度:296件、2016年度(熊本地震の年):338件、2017年度(新病院での1年目):433件、2018年度:465件、2019年度:509例、そして2020年度は519件でした。うち初発例に対する手術は402件となっていました。また、再発例に対する手術が9件でした。なお、初発例に対する同時再建手術は12件に施行されていました。手術術式の内訳では乳房切除術が多くを占め、その分乳房温存手術が減少していました(39.1%)。近年の傾向として、乳房切除術が増えていますが、これにはMRIなどの術前診断で多発病変などの指摘が増えていることも影響しているかと思われます。
2020年度 | 初発 | 再発 | 良性 | リンパ節 生検他 | 合計 (件) | ||||
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Bt (乳房切除術) | Bp (乳房温存術) | Tm (腫瘍摘出術) | 再発腫瘍 (局麻下) | AX (リンパ節郭清) | 良性腫瘍 切除 | ||||
同時再建 | |||||||||
4月 | 22 | 0 | 16 | 0 | 0 | 0 | 3 | 6 | 47 |
5月 | 23 | 1 | 11 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 38 |
6月 | 18 | 1 | 10 | 1 | 4 | 0 | 3 | 7 | 43 |
7月 | 19 | 1 | 9 | 1 | 1 | 0 | 1 | 8 | 39 |
8月 | 20 | 1 | 13 | 0 | 0 | 2 | 2 | 3 | 40 |
9月 | 14 | 0 | 18 | 1 | 0 | 2 | 1 | 6 | 42 |
10月 | 20 | 2 | 17 | 3 | 0 | 0 | 0 | 13 | 53 |
11月 | 19 | 3 | 16 | 1 | 1 | 0 | 2 | 5 | 44 |
12月 | 21 | 1 | 16 | 0 | 1 | 0 | 4 | 7 | 49 |
1月 | 21 | 0 | 15 | 0 | 2 | 1 | 1 | 8 | 48 |
2月 | 17 | 1 | 11 | 1 | 0 | 0 | 1 | 7 | 37 |
3月 | 21 | 0 | 15 | 0 | 0 | 0 | 3 | 10 | 49 |
合計 | 235 | 12 | 157 | 10 | 9 | 5 | 21 | 82 | 519 |
初発例:402例
化学療法
乳がんに対する治療法として重要なものの一つが抗がん剤治療です。下表は2020年度の1年間の入院および外来での治療件数をまとめたものです。2017年度は外来:1,485件、入院:988件の計:2,473件、2018年度は外来:1,587件、入院:924件、2019年度は外来:1,613件、入院:869件、2020年度は外来:1,455件、入院:998件と外来での施行例の割合は60%でした。当院では初回の治療は基本的に入院で行なっており、その後も患者さんと相談の上基本的には外来での治療を行なっています。
2020年度 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 合計 |
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外来 | 139 | 104 | 132 | 106 | 116 | 112 | 125 | 112 | 126 | 126 | 123 | 134 | 1,455 |
入院 | 80 | 88 | 73 | 76 | 82 | 79 | 82 | 69 | 81 | 92 | 98 | 98 | 998 |
セカンドオピニオン
患者さんにとって診断や治療法選択に際して重要なセカンドオピニオンの件数についての報告ですが、2020年度は15件でした。内訳は初発時における手術法・術後治療法の選択や再発時における治療方針などに関する相談でした。
乳がん検診
新病院移転後から乳がん検診を開始いたしました。熊本市が行なう対策型検診と病院が主体で行なう任意型検診を行っています。主にマンモグラフィでの検診ですが、オプションとして超音波検診も希望者に対し実施しています。2020年度は熊本市の検診が804件で、任意型検診を326件に行いました。新型コロナ感染症の影響でやや減少しておりましたが、任意型検診は前年度より増加していました。
2020年度 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 合計 |
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市 助 成 | 15 | 12 | 85 | 77 | 74 | 76 | 96 | 67 | 68 | 75 | 72 | 87 | 804 |
うち超音波追加例 | 10 | 10 | 70 | 58 | 52 | 50 | 69 | 43 | 40 | 43 | 49 | 58 | 552 |
任 意 | 19 | 6 | 28 | 29 | 47 | 33 | 35 | 34 | 23 | 34 | 18 | 20 | 326 |
業績
2020年度の業績としての学会発表(講演も含む)と論文(共著も含む)のまとめ一覧を別表に記載します。新型コロナ感染症の影響で学会や研究会も中止や延期も見られ、前年よりも発表数は減少していました。しかし、コロナ後を見据えてデータ整理などは行なっていきたいと思います。
学会発表、論文について
> 令和02年度の学会発表および学術論文(PDFファイル)
> 令和元年度の学会発表および学術論文(PDFファイル)
> 平成30年度の学会発表および学術論文(PDFファイル)
> 平成29年度の学会発表および学術論文(PDFファイル)
> 平成28年度の学会発表および学術論文(PDFファイル)
乳がんチーム医療研究会
これまで通りに1回/月乳がんチーム医療研究会を開催しています。昨年度の開催内容を以下に紹介します。
開催日 | 内容 |
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平成31年04月23日(火) |
「各部署からの近況報告」 乳腺センター・地域連携室・栄養管理科・リハビリテーション科・病理診断科・放射線科・医事科 |
令和元年05月28日(火) |
「各部署からの近況報告」 手術室・薬剤部・臨床検査科・乳腺センター看護師(外来) ・乳腺センター看護師(病棟)・緩和(4南)・外来化学療法室 |
令和元年06月25日(火) |
「リンパ浮腫について」 1.リンパ浮腫とは 2.リンパ浮腫への対応 |
令和元年07月19日(金) |
乳がんチーム医療研究会 特別講演 「がんゲノム医療における看護師の役割」 九州大学病院看護部 乳がん看護認定看護師 泊 直子先生 「乳がん診療におけるがんゲノム医療の展開」 九州大学病院乳腺外科 診療准教授 久保 真先生 |
令和元年08月07日(水) |
がん診療委員会主催院内研修会 特別講演 「免疫関連有害事象(irAE)対策について ~熊大病院での取り組み~」 熊本大学病院外来化学療法センター長 陶山浩一先生 |
令和元年09月24日(火) | 「乳がんの性格と顔つき」 |
令和元年10月29日(火) | 「免疫チェックポイント阻害薬 ~irAEマネジメントチームの構築~」 |
令和元年11月01日(金) |
Psycho oncology seminar in 熊本 基調講演 「女性の不安とうつ 」熊本ファミリーメンタルクリニック 院長 安川 節子先生 特別 講演 「乳がん患者さんとご家族の心のケア~がんの告知から緩和まで~」 保坂サイコオンコロジー・クリニック院長 保坂 隆 先生 |
令和元年11月26日(火) |
irAEマネジメントシリーズ ①抗がん薬による心毒性について ②心筋炎について |
令和元年12月20日(金) |
Breast Cancer Seminar in 熊本 特別講演 「よいデータをよい治療につなげるために」 浜松オンコロジーセンター院長 渡辺 亨先生 |
令和02年01月28日(火) |
irAEマネジメントシリーズ 免疫、病気、治療 ~がん免疫療法とは~ |
令和02年02月07日(金) |
乳がんチーム医療懇話 特別講演 国立国際医療研究センター 上村夕香理先生 「臨床試験デザインのいろは ~PALOMA-3試験を題材に~」 |